新学習指導要領で小学校は変わるんですか?[一問一答]

 
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上の名前がコージ、下の名前がコーダイです。 兵庫県生まれ、福岡市在住。2児の父。 人の意識を変え、国際協力の必要のない持続可能な社会にすることが目標です。
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どうもコージコーダイ(@kodai_chi_koji)です。

Twitterで飛んできた悩みや質問にサクッと答えるという企画記事です。
一問一というより一問一だと思ってもらったほうが正確だと思います。

分野外のことにも自分の考えについて答えていくのであたたかく見守ってくださいね!

今回はヒロタ@生きづらいお母さんをサポートする人 さん(‏@hiroeaaa1976)からの質問です。

おお!なかなか専門的な話題!
新学習指導要領の質問です。

SDGs目標4に関わる問題ですよね。

 

目次

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新学習指導要領で小学校に大きな変化があるか?

 

まず、大前提について修正させてください!

結構、ヒロタさんと同じような考えをしている人が多いんです。
これは、学校の先生の中にも多数います。

何かを変えるために新学習指導要領があるんじゃないんです。
むしろ矢印としては逆です。

社会が変わるから学習指導要領が変わるんです。

学習指導要領とは

ここにたどり着く読者さんの中には学習指導要領って何?って人もいると思いますのでざっくりとですが学習指導要領について解説しときます。

端的にいうと、学校で何を教えるかなどについて定めている文章です。厳密には法令ではないですが、学校教育法施行規則に基づいて定められているため、学校で教える内容が法的根拠を持つのはこの学習指導要領によります。

これがあるから、沖縄で教育を受けても北海道で受けても、大阪で受けても「同じ教育」が担保されているんです。

 

社会が変わるから学習指導要領が変わる

 

だいたい10年ペースで学習指導要領は変わってきています。

ところで、10年前のことを思い出せますか?(現在2019年2月)

私はその頃、高校で働いていました。
iPhoneを持っていたんですが、それはそれは羨ましがられたものでした。

当時、まだガラケーが主流、スマホユーザーなんてほとんどいませんでした。

回線は3G、出先で動画を見てる人なんていませんでした。
Youtubeはサービスは開始していたものの、今のような使われ方はしていません。

この10年間の変化を誰が予想できたでしょうか?

そうです、全く違う社会を私たちは生きているんです。

学習指導要領について上で簡単な説明をしていますが、こちらでもう少しだけ補足しておきます。

学習指導要領には、「これからの社会を見据えて、どんな教育が必要なのか」が書いています。

社会が変わっているんです。
じゃあ「これからの社会を見据えて、どんな教育が必要なのか」も変わる必要がありますよね。

繰り返しになりますが、学習指導要領が変わるから社会や学校が変わるんじゃないんです。

社会が変わるから学習指導要領が変わるんです。

 

新学習指導要領に何が書かれているか、これまでの変化との違い

 

新学習指導要領についての細かな解説は散々されていますのでここではしません。

文科省のサイトに飛んでもらえば、学習指導要領解説もありますし、これまでどんな議論がされて今回の学習指導要領が作られたのかなども全て書いています。

だから、ここでは私がぜひ多くの人に知ってもらいたい部分にフォーカスしつつ新学習指導要領について書いてみたいと思います。

新学習指導要領について考えるときに話題になるのはどんなことでしょう?

  • 英語教育
  • プログラミング教育

この二つじゃないですか?

正直、英語教育もプログラミング教育も今回の変更の本質ではないです。

今回の学習指導要領から「前文」が作られました。
その前文に書いてある文章がすごいんです。次の引用した部分を読んでください。
※引用中の着色やラインは私が入れたものです。

一人一人の児童が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。

(新学習指導要領ー前文より)

 

これまでもですね、似たような内容は書かれてたんですよ。
でも、各教科などにばらけて書かれていたんです。

だから、なかなか学校で「持続可能な社会の担い手を育てるための教育をしましょう!」みたいなことを話しても「いやいや学力の向上をせなあかんから」「そういうのも大事なんは分かってるんやけど…」みたいに本編扱いされませんでした。

でも、この前文という日本の教育で何をするかの一番ど真ん中にこれが乗っかったんですよ。
そしてこの文章がここに入り込んできたのは社会の変化によるものです。

次の引用文を読んでください。
これは中央教育審議会の指導要領の改定に関する答申です。

社会の変化は加速度を増し、複雑で予測困難となってきており、しかも そうした変化が、どのような職業や人生を選択するかにかかわらず、全ての子供たちの 生き方に影響するものとなっている。社会の変化にいかに対処していくかという受け身の観点に立つのであれば、難しい時代になると考えられるかもしれない。

(幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について/答申ー平成28年12月21日 中央教育審議会)

 

どうでしょう?

これまでもですね、社会の変化については語られてきていたんです。

どう語られてきていたかというと、「変化の激しい時代になってきた」って言われてたんです。
だから、そこで出てきたのが教育にちょっと詳しい人なら絶対に知っている「生きる力」です。

変化の激しい時代だからこそ、生きる力(学力・人間性・体力)を身につけましょう。

だいぶ暴力的ですが、現行学習指導要領に書かれていたのを一文で書くとこうなります。

しかし、今回は大きく変わりました。

変化の激しい時代とかぬるい話じゃなくなったんですよ。
変化の読めない時代になったんです。

解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり、定められた手続を効率的にこなしたりすることにとどまらず、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え、主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け、子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。

(幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について/答申ー平成28年12月21日 中央教育審議会)

 

これまた暴力的ですが、変更後の新学習指導要領を一文にしちゃいます。

変化の読めない時代になったから、生きる力(主体的・対話的で深い学び/課題解決能力と解決しようとする心)を身につけましょう。

これです。
生きる力の定義が変わったんですよ。

ちなみに、ヒロタさんの質問文の中に「アクティブラーニングの文言は入らなかったけれど、その方向?」というのがありますが、この「主体的・対話的で深い学び」というのが、ちょっと前に言われていた「アクティブラーニング」です。実質のところ文科省が名前を変えただけです。(こういうの一般の人には伝わりにくいからやめてほしいですよね)

だから、今回の学習指導要領なんですがちょっと面白いことになっています。

これまで、学習指導要領には「(教師が)何を教えないといけないか」が書かれていたんですが、今回のものには「(子どもたちが)何ができるようになるか」が書かれています。

主体が学習者になったんですよ。

 

一見ええことが書かれてる風なんですが・・・

 

さて、社会の変化を止めることはできません。

学習指導要領にはいいこと書いてますよ。

あとは、それを実行できるかです。

 

誰が?
学校で、先生が?

子どもたちが?

教科書は学習指導要領に準拠して作られるので、教科書を使って授業をすれば自然に学習指導要領に大枠外れないようになっています。だから、学校や先生、子どもたちは少なからず今回の新学習指導要領によって変わっていくでしょう。

 

しかし、私は今回の新学習指導要領を前にこう思うんです。
変化に対応できるかどうか、問われているのは私たち「大人」なんじゃないかな、と。

むしろ「問われるべきは」と言う方がいいかもしれません。

仮に、子どもたちが必死になって新学習指導要領に沿って学習して「持続可能な社会の担い手」になったとしても、今直面している社会課題を私たち大人が未来に先送りしてしまうのであれば、ますます複雑化し解決できなくなるでしょう。

子どもたちが身につけなければいけないような能力や考え方を子どもたちに示せるように、子どもたちよりも率先して私たち大人が身につけなければいけないのではないでしょうか?

それをせずに、新学習指導要領で教育を受けた子どもたちに未来を託すなんてのは流石に虫がいい話ですよね。

持続可能な社会づくりへの一歩を、新学習指導要領に先駆けて大人の私たちが踏み出しませんか?

 

まとめ

 

サクッとのつもりがまたまたガッツリ書いてしまいました。

まとめておきます。

  • 学習指導要領で学校や社会が変わるんじゃない
  • 社会変化に対応する形で学習指導要領が変わっている
  • 生きる力の考え方が変わった
  • 問われているのは私たちの行動

子どもたちが大人になった時、
あれ?社会課題がたくさんあるからこれから大変だって聞いてたのに全部解決されちゃってるやん!

ってなるように、今から私たち大人がまずは自分でできるアクションを考えて実行してみましょう!

子どもに何かをさせるなら、自分たちが行動して背中で見せましょう!

社会課題解決の主体は学校や企業、国家じゃないです。

私たち一人ひとり、つまり個人です!

 

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