ファシリテーターが絶対にやってはいけない2つのタブー【常識】
かつての私がそうであったように、世の中には「ファシリテーター」が何なのかもわからないままファシリテーターを名乗っている人がいっぱいいます。
そして、そんなウソファシリテーターを見て、誤学習をしている人もたくさん。
ということで、今回はもっともやりがちなミス。ファシリテーターの落とし穴について説明しますね。
これ、駆け出しのファシリテーターは絶対に陥ります。
目次
こんなのどうでしょう?
例えば、こんな会議をイメージしてみてください。
A部長:今日の会議のファシリテーターはB係長お願いします。
B係長:それでは前回から議題になっておりました、経費削減についてですが何かご意見のある方?
C係員:・・・
A部長:Bくん、何か用意してる案があるんじゃないのかね?
B係長:はい、事前に考えていた案について説明させていただきますね。(自分の意見を言う)
みんな:じゃあ、それで。
ちょっと例は雑ですけど、ありがちですよね。
そもそもファシリテートできてないとかっていうツッコミはここでは置いておいて、この中にすでに今回取り上げたいタブー的な2つの落とし穴があります。
ファシリテーターの立ち位置
ファシリテーターは議論の中に入らない。
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これは血の掟です。
スポーツで言うと、審判的なポジションです。
もしサッカーの試合見ていて、突然盛り上がった審判がボールをトラップしてドリブルをし始めたらどう思いますか?まともな試合になりませんよね?
ファシリテーターが議論に介入するというのはまさにそれと同じような状況です。
ただ、サッカーと違うのは試合そのもの(会議)には参加できませんが、ボールの動き(プロセス)には介入できます。
ちょっと全然ボールが回ってないなーって人を見つけたら、笛を鳴らして試合をストップしてボールをその人に渡してみて再スタート。あるいは、あまりにもずっとボールを独占している人がいたらその人からボールを取り上げてゴールキックから始めようみたいなんもします。というより、そういったことを期待されています。
ただ、どっちが勝つか負けるかっていうのは応援できません。むしろファシリテーターの仕事は両チームのメンバー全員が完全に力を出し切るのをサポートすることです。
両チームの全員が完全に力を出し切った(本音であらゆる情報を付き合わせて議論をした)時に、勝つのはどっち(出てくる答えは何)かというのを導きます。
だから、大企業などではファシリテーターを外部から雇うのです。どうしても(よほど精神力がない限り)内部の人材からファシリテーターを立てると中立な判断ができないからです。
答えはあるの?ないの?めあては?
学校の先生などを対象に研修を担当させていただくと、めちゃくちゃよく質問される項目です。
実際のケースで説明すると、質問はこんな感じの内容だったと思います。
「子どもたちに学習をさせようとした時に、ファシリテーター的なポジションで授業をしたら学習がどこにいってしまうのかが不安です。意図しない答えにたどり着くかもしれない」
これについて、
「それは実施者の傲りだと思います。一人の教師(ファシリテーター)がいて、例えば30人の生徒がいるとする。そしたら、30人をしっかりファシリテートして出てきた答えが自分の想定していた答えと違っていたらそれは想定していた答えが間違っていたと考えるべきです。30人の脳みそをつなぎ合わせて出てきた答えが、一人の教師の脳みそが出した答えより劣っていることはありえません。出てくる答え、参加者である生徒を信じるというのがファシリテーターとしての一つの資質です。むしろ想定しないような答えが出てきたなら、それは自分一人では気づけないゴールを見つけられたということなので、喜びを感じるべきやと思います」
といった、回答をさせてもらいました。
その時の研修の様子についてJICA九州さんがまとめてくれていますので、リンクを貼っておきます。
つまり、ファシリテーターとしてゴールを設定しておくというのが2つ目のタブーです。タブーというかもはやファシリテーターではないです。
もちろん、授業の場合などである程度のめあては必要だとは思いますので、ファシリテーターとして授業を進行したいと思っている時には、例えば「〇〇の大切さに気付こう」みたいなゴールにするのではなく、「◯◯について考えよう」みたいなものにしておき、着地点については自由さを残しておきましょう。
まとめ
細かいポイントはたくさんありますが、もっとも注意すべき二つのタブーについて今回は例を挙げて説明させていただきました。
・ファシリテーターは議論に参加しない
・ファシリテーションの場において、議論のゴールは設定しない
それでは、あなたのファシリテーションがスムーズにできることをお祈りしております!