研修、講演、ワークショップの違い。講師謝金の相場は?

 
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上の名前がコージ、下の名前がコーダイです。 兵庫県生まれ、福岡市在住。2児の父。 人の意識を変え、国際協力の必要のない持続可能な社会にすることが目標です。
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どうも講師業より講師育成業に力を入れ気味のコージコーダイ(@kodai_chi_koji)です。

今日は行政職員を対象にした多文化共生&SDGs導入研修をさせていただきました。

ざっくり説明すると、
まず、災害時の外国人が置かれる状況を体験するワークショップをアレンジしたものを経験してもらい、その上で自分たちが無意識に小さな声に対して無関心になってしまっていることに気づいてもらい、改善するためのフレームワークを学んでもらいました。
そして、最後に自分たちの業務の評価や改善のための「ものさし」としてSDGsを活用することの有用性を知ってもらう。

といった内容で、2時間で実施しました。

(今回の研修の次のステップとして)各課でSDGsを活用した業務改善がもしできるならしたいか?
という、事後アンケートに9割以上の参加者がYESと回答していたことからも、今回の研修は有意義だったのかなと振り返るところです。

アンケート結果に甘んじることなく、謙虚にさらに今回の研修での気づきを加味して精進したいなーと思っています。

さて、前置きが長くなりましたが、講師業を始めてかなりの年数が経ちましたので、これから講師業を始めたい人のために講師業の種類や、何から取り組めばいいのかについて今回はまとめたいと思います。

目次

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講師依頼は大体3つのパターンに分かれる

講師依頼があった時、依頼主からわーっと思いをぶちまけられます。
そして、話をじっくりと整理していくと3つのパターンに分けられます。

それが、「講演」「ワークショップ」「研修」です。

この中で、一番大変なのは研修です。

もうダントツです。他の二つと比較になりません。
講演、ワークショップがドドリアとザーボンやったとしたら、研修はフリーザ様です。

はっきり言います。講師として開業して初期の頃に運よく依頼が来たとしても研修だった場合は断った方がいいです。

戦闘力53万ですからね!

“コーダイ”

とりあえずこの話は一旦置いておきましょう。
個別の話ではなく、一度全体を整理しますね。

 

講演、ワークショップ、研修の違い

講演とワークショップと研修ってどう違うかって答えられますか?
私はこんな感じで整理しています。

講演

主な目的:何かを伝える(何かを学ばせる)
主に必要なスキル:プレゼンテーション
※答えがある

ワークショップ

主な目的:何かを体験する(何かに気づかせる)
主に必要なスキル:ファシリテーション
※答えがある時が多い(ない時もある)

研修

主な目的:何かを解決する(何かを変える)
主に必要なスキル:プレゼンテーション+ファシリテーション+α
※答えがない(見つける必要がある)

この分類を見てもらったら、研修だけちょっと異色なのがわかりますよね。

体感的には講演3回分とワークショップ2回分を足したらちょうど研修1回分になるかなーってところです。

だから、まずは背伸びをせずに「講演」もしくは「ワークショップ」をできるようになりましょう。

 

講演とワークショップだとどちらが難しい?

講演とワークショップのどちらが難しいかというのは非常に難しい質問です。
お互いに重なり合う部分はあれども、全く別物だからです。

「そば」か「うどん」
みたいなのに近いですね。

全然ちゃうけど、似てる。同一視されがちやけど、全く違う。 そして好みも別れる。向き不向きもあります。

なので、「適正」と「好き嫌い」の二つの視点で選び方を整理します。

 

適正で選ぶなら

人によるとはいえ、強いていうなら訓練してさっさと上達しやすいのは講演スキルの方です。
ただ、(依頼主はレトリックを求めている訳じゃないから)小手先のテクニックだけ磨いても依頼につながらないので講演業もびっくりするぐらい奥が深いです。
講演業における教科書は「あなた」自身なので、それに厚みがあるなら多くの人を惹きつけることができますが、うすーいパンフレットのようなものだとすぐに飽きられます。
講演の魅力、すなわちあなた自身の魅力と言ってもいいかもしれませんね。
あなた自身に魅力(特殊な経験など)がある場合は、ちょっとテクニックを磨けばすぐに講演の仕事は始められますよ。
というか、どんな人にでも一つや二つは講演にできるぐらいのストーリーがあるのでそれを発掘して整理すれば簡単にスタートできます。

それに比べて、ワークショップはテクニックによるものが大きいです。
あとは、若干のセンスが必要です。

3割のセンスと7割のテクニックといったところでしょうか。

なので、自分自身にはそこまで魅力はないんだけど…
って人は先にこちらにチャレンジするといいかもしれません。

しかし、テクニックは座学では磨くことができません
なぜかと言うと、ワークショップの世界では同じシチュエーションが存在しないからです。

だから、必ず現場での場数が必要になります。
そう考えると、若干講演よりもワークショップのファシリをする方がハードルは高そうですね。

とはいえ、仕事をしている人なら業務の中の会議や、子どもがいる人ならPTAの話し合い、あるいは仲間で旅行を計画するときなど、意外とファシリテーションスキルを磨くための練習の場はそこら中に転がっています

ファシリテーターとしての姿勢を意識して、毎日を過ごすと案外と数ヶ月もすればファシリテーターとしての基礎は身につきます。
基礎が身に付けば、どんなワークショップでもこなせるようになるでしょう。

合わせて、ワークショップの強みとしては多くの教科書や参考書があることも挙げれますね。
つまり基本的なテクニックを身につければ自身の経験がなくてもかなり幅広いテーマに対応できるようになります。

 

好き嫌いで選ぶなら

好きこそものの上手なれって言葉もありますので、
「好き嫌いで私は選ぶぞ!」って人は次を参考にしてください。

話すのが好きなら講演(プレゼンター)
聞くのや話の交通整理が好きならワークショップ(ファシリテーター)を目指せばいいと思います。

ただ、好き嫌いで選ぶ場合は客観性を欠いてしまって暴走しがちなので、参加者が置いてけぼりになってしまわないよう注意しましょう。

 

話が好きな人は「自分が話したいこと」に集中してしまって「聞き手が聞きたい話(聞き手に価値のある話)」の視点を忘れてしまいがちです。

あなたが、誰もが名前を知る有名人や文化人ならそれでいいでしょうが、はっきり言ってあなたの話そのものには全く価値はありません

その現実をまず受け止めて、あなたの個人的な経験を価値ある話に変換して聞き手に届くようにわかりやすく話しましょう。

 

聞くのが好きな人も然りです。

ワークショップの参加者はあなたに聞いてもらうのが目的ではなく、あなたがしっかりと聞き、ファシリテートしてくれるのを期待しているのです。

日常生活の中での「聞く」とファシリテーションの場の「聞く」は違うということをしっかり意識しておきましょう。

 

どっちの方がニーズがあるの、謝金の相場は?


どちらもニーズはありますが、手っ取り早く仕事をもらいやすいのは講演の方です。

しかし、最近ワークショップ的な依頼が若干増えてきたかなーと感じてはいます。
また、ワークショップのファシリテーターの方が認知度が低いので、競合するプレーヤーが比較的少ないという意味では強いです。
謝金の相場的にもこの二つはそんなに変わらないです。

拘束時間にもよりますが、最低ラインが5000円ぐらいからで、2〜3万円が一般的
講師のレベルとか経験年数、テーマによって専門性が上がると5万円とか10万円になってきます。

ただ、ファシリテーターとしてのスキルはコーチングやカウンセリングなどのスキルとして応用することができますので、そういう意味では後々資産になりやすいです。

 

最終的にはどちらもできるようになる必要がある

最初に、「講演」のスキルを磨いた人は次に「ワークショップ」のスキルを磨いたらいいと思いますし、その逆でもいいと思います。

しかし、プロとして本当に依頼主の思いにエンゲージしたいのなら、どこかで「講演」と「ワークショップ」の垣根を超える必要が出てきます。

講演をしながらも、合間にワークを入れ込んだり、ワークショップをしながらも最後や頭に講演的なものを入れ込んだりといった複合的なアプローチでないと参加者の考えを本当の意味で深めることができないからです。

「講演」や「ワークショップ」をまわすのに慣れてきたら、徐々に二つを絡めていく練習をしましょう。

それができるようになると別の世界が見えるようになってきます。

 

武道などの世界で

守破離(しゅはり)

っていう考え方があります。

 

「守」っていうのは基本のことです。

型通りのきっちりとした基礎です。

これをみっちりするのが「講演」とか「ワークショップ」の講師としての下積みです。

あるいは、その下積みをするための自分磨き、知識を補完するための勉強なども「守」です。

 

そして、この場合の「破」は二つを混ぜ出すことです。

つまり、型を少しずつ破って、自分らしさを出していくステップです。

ここら辺から本当に「自分にしかできない仕事」の片鱗が見え出します。

 

そして、最後が「離」です。離れるんですよ。

それまでの下地があるから、おかしなことにはならないんですが、常識や規範から外れて新しい視野を獲得することができます。そして新しい価値を作ることができるようになります。

ここになると、テキスト的なものが必要なくなってきます。むしろ、筋書きが邪魔になってきます。

ただ、もちろん継続して様々なインプット(勉強)はし続ける必要があります。

 

最終的に目指すべきは研修講師

ここまで読んだらなんとなく伝わったでしょうか?

研修っていうのは「守破離」の「離」なんですよ。

なので、講師業を目指される方は最終的には研修を担当できるようになるのを目標にするといいと思います。

研修になると死ぬほど準備に時間がかかるし、求められることも格段に難しくなります。
(もちろん、パッケージ化した商品にしてしまって同じ研修を何年もやっている講師もいますが、私は個人的には同じことをやっている研修講師は講師として二流だし失格だと考えています)

めっちゃ時間もかかるし、労力も必要。
その代わり、研修になると単価がかなり上がります。

だいたい、フツーに講演をする場合の、倍から5倍ぐらいにはなります。
金額にしたら最低でも3万ぐらいから、相場は10万〜50万、条件次第ではもっと金額は跳ね上がります。

ただ、準備に時間かかるし、講演をしてる方が正直楽ですけどね。

 

山に登った時に山頂から見る景色がめっちゃ気持ちいいように、研修を一個終えた後のビールは最高に美味いです。

そんだけしんどいからです。

 

講演業を五年以上やってきて、やっと研修をそれなりに自信を持って引き受けるようになりました。

振り返ったら恥ずかしい黒歴史だらけですけどね。

多分、講演の仕事を引き受けるようになって経験した数々の失敗談の方がこれを読んでいる方の役に立つと思うので、これからは私の黒歴史も公開していこうと思います。

長文読んでいただき、ありがとうございました。

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