現代日本の奴隷制度なの?外国人技能実習制度の何が問題か
たまたま目にした番組で外国人技能実習制度をとりあげていたので、
「なかなか切り込みにくいところに切り込んでくれるなー」
そう思ってすぐに同僚にラインをした。
「外国人技能実習制度についてガイアの夜明けで取り上げられていますよ」
すると、
「見てます」
のお返事が。
サスガデゴザルナ。
見ながら、これは企業がバッシングをくらいそうだなと思っていたら案の定ここ数日なかなか騒がしいことになっている。
悪いのは企業だけなのだろうか?
その辺について、多文化共生や国際理解推進を専門にしている身として今回は取り上げて書きたい。
私の活動拠点の一つである地域でも技能実習生が増えています。
とにかく番組内でも伝わったかと思いますが、技能実習制度についてはアンタッチャブルな部分が多くなかなか切り込みにくいのが現状です。というのも、正直ちょっといろいろ裏が怖いんです。
しかし、私の中で「技能実習生=不当な扱いをされている海外からの労働者」というイメージが強く、取り組むべき課題としてアクションできないことにモヤモヤしっぱなしだったのですが、ついに先日機会を得て少し首をつっこむことができました。
技能実習生との関わりが深い人の中で信頼できる人と直接コンタクトをとり、聞き取りをさせてもらったんです。
ところが、私の視点も偏っていたのかもしれないと反省する羽目になりました。それがつい最近の出来事。
そんなタイミングで、今回のこの番組があったので色々と考えてしまいますね。
その話を耳にするまで私が考えていたのはこんな事業イメージ。(さすがに単純化しすぎているけれど、イメージとはそういうものです)
「人々の意識を変えることにより、国際協力の必要のない世界を作る」
これは私自身の研究テーマであり、ライフワークでもあります。
主宰している団体「学校から世界のミカタを考える会」の広報誌でそのへんの思いをまとめている号があるので貼っておきます。
毎月発行しているので、バックナンバーや裏面もコチラから読めます。(宣伝)
話はそれましたが、そういう意味では、地域にある課題として外国人技能実習制度は最適だろうと考えていたんです。
しかし、相談をかけた相手からは、
「うーん。正直なところ交流の機会は求めてないと思うよ」
と、さらっとぶった切られました。
「お金を稼ぎに来てるだけだからさ。期間終わったら国に帰るつもりだから」
外部との接点を「断たれている」と聞いていたのですが、どちらかというと自主的な部分の方が強いとのこと。
彼らは来たくて来ている。
なぜか?
貧しいんですよ。
「留学生との交流」みたいな感覚では交流活動なんてできるワケないですよね。
そして、どこもかしこも番組で取り上げているような制度を悪用している業者ばかりじゃない。
番組を見て「けしからん」ってゆうて、番組に出ている企業や、それから飛び火した企業を槍玉にあげても根本的な解決にはならないんです。
多分、企業の担当者もそんなに焦ってないと思いますよ。服飾系ではありませんがとある企業のつぶやきをふと思い出しました。
何かしらの事件があっても人は忘れる。
1ヶ月とかかな、だいたい。
先日の博多高校の暴力事件の時にも言いましたがあくまで知った出来事、不快に感じた話を解決できるかは当事者だけでなく、一見関係のなさそうな個々人が「当事者意識」を持って行動できるかどうかにかかっています。
企業の行動は私たちの消費行動の写し絵です。企業の「せい」にして、自分たちの責任と切り離して個々人が考えている限り、数十年後、私たちの世界の持続可能性は限りなく低いでしょう。
テレビの内容はよかったですが、テレビというメディアの特性上どうしても「受け手」でおわってしまうんです。
「へー」「わるいやつがおるんやなー」
「けしからん、そんなとこで買ったらあかん」
実際、多くのサイトにもまとめられていました。
「この企業では買わないでおこう」
確かに一つの効果的なアクションかもしれないですね。
でも、その前に
「自分たちの消費行動を見直そう」
このアクションを挟んでみませんか?
最近、何を買いましたか?
買う時に他に迷った商品はありましたか?
選んだ決め手はなんですか?
だれかの意見を乗っかってファッションとして不買運動をするのではなく、自分の意思で主体的な購買活動をしましょう。
企業についてもSDGsの盛り上がりとともに少しずつ変わって来ているように思います。
その変化を後押しするのは一人一人の市民性にかかっています。
人類の歴史を振り返って、誰かが誰かのツケを払っていなかった時代なんてないですよ。
今回は外国からの研修生が企業から搾取されて涙をみることになっているという報道でしたが、グローバル化する前は国内で同じような立場で搾取されてる側、する側の構図があったわけですよね。なんなら今もありますよね。
他にも、北朝鮮のミサイルについての報道だってまるで悪魔の所業のように報道されていますが、どれぐらいの人がアメリカが弾道ミサイルの発射実験をしていることを気にしているでしょう?
そのミサイルの軌道の先の一つは、マーシャル諸島にあります。
ビキニ環礁の水爆実験で強制移住をさせられた住民が住んでいる地域の話です。アメリカの水爆実験の被害者が住んでいる地域をめがけて「今も」アメリカが弾道ミサイルを飛ばしているんです。ミサイルが飛んできたら数日は雨水が飲めなくなるそうです。知ってましたか?
今回の報道で描かれていたような話やその他、様々な不都合な話は誰でも知ろうと思えば知れた話です。
それを「知らなかった」のはあなたです。
そして、知った後に「企業が悪い」で終わらせていいのでしょうか。
不快だから、早くスッキリしたい。
「悪者は誰だ?」
「お前だ!!!」
「企業だ!」
あまりにも短絡的すぎると思いませんか?
さて、あなたも世界のミカタになりませんか?