【体験レポート】カードゲーム「2030 SDGs」【ファシリテーター】
更新があきましたが、オサボリをしていた訳ではなく、裏で別のホームページを作成しておりました。その話はまた後日。
さて、かなり以前から気になっていたSDGsを題材にしたカードゲーム「2030 SDGs」に参加する機会を得たので記憶が風化する前にレポートしておきます。
目次
そもそも、SDGsって?
カードゲーム「2030 SDGs」って?
イマココラボさんがプロジェクトデザインさんと共同で製作したゲームで、SDGsの細かいコンセプトを学ぶことではなく、「なぜSDGsが必要なのか」、「それがあることでどんな変化や可能性があるのか」を理解することを目的にデザインされています。
どうして受けようと思ったのか?
講演や研修でSDGsを扱うことが多く、より効果的に伝えるツールはないものか?と考えていた時にこのカードゲームの存在を知ったからです。
ちなみに、このカードゲームは販売はしていません。
認定ファシリテーターがカードをレンタルをして、各地でイベントを開催するというカタチを取っています。
そして認定ファシリテーターになるには一度どこかでゲームを体験して、さらに認定ファシリテーター養成セミナーのようなものに参加するという二段階認証システムを踏まなければいけないという手順になっています。
ゲームが一人歩きして趣旨を逸脱しないための制度ということで、確かにワークショップはゲーム性のみが一人歩きして本来の目的が忘れ去られてしまうというケースが多々ありますので、この考え方については一定の理解はできます。
また、認定ファシリテーターに対しても販売ではなくレンタルという形式にしているのには実施したファシリテーターからのフィードバックを生かしてゲームを進化させ続けるという目的もあるのだとか。
そして、逆にそこまで手順を踏むのだから期待して参加しました。
状況次第では、認定資格をとって自分も実施者としてやろうかなーという思いももちろんあっての今回の参加でした。
参加してみて
結論から先に書くと、煩わしい手順を踏んで認定ファシリテーターになりたいとまでは思いませんでした。
参加者として感じたこと、改善策について少しまとめておきます。
ファシリテーターがプロセスに関わっていない
参加者の中に、一人ちょっとコントロールが効かない人がいました。そのせいでその方以外の学びや気づきの機会が大幅に失われました。しかし、コントロールが効かない人を含めて、参加者には責任はありません。参加者ですからね。それを円滑に回すことがファシリテーターの使命であり責任です。
参加者の悪口になってしまうといけませんので、細かい話はここでは書きません。
代わりにファシリテーターの動きについて書きたいと思います。
今回のファシリテーターを務められた方は主導権を手放すことについては非常に素晴らしかったんです。ファシリテーターをしたことがある人はわかると思いますが、会場に主導権を握らせるのはものすごく難しいんです。だから、序盤は結構ポジティブにその進行の方法を観察させていただいていました。
「コンテンツに手を触れず、いかにプロセスに関わり続けるか」
これがファシリの醍醐味だと私は考えています。
だから、前半は、
「おー、こんなに関わらずにプロセス管理ができるんかー。さすがだなー」
って思ってたんですよ。
しかし、途中から、
「あれ?コンテンツにもタッチしないけど、プロセスについても参加者任せにしすぎじゃない?」
と私の中での見方が変わりました。
そして、もしかしたら全体の推移を見守っているだけで、最後の振り返りでどんでん返しがあるのかな…と思っていたら最後の最後までコンテンツにもプロセスにもほとんどタッチしないまま時間になり解散しました。
通常なら、講師(ファシリテーター)の責任!で解決する問題だと思うんですが、このゲームに関しては、認定制度になっているんですよね。
ということは、認定する開発側、運営側がこのゲームはこういう使い方をするものですよっていうものがあるんですよね。じゃあ一概にファシリテーターの問題じゃないんちゃうかなーと感じてしまいます。
加えて、他の会場で他のファシリテーターが実施するこのゲームに参加した知人もほとんど同じ感想を抱いていたのにも自分が受講してみて納得したところです。
カードの属性に目がいかない
このゲームは、簡略化して説明すると時間と金を使ってプロジェクトを実施してそれで得たものによって自分の手元の時間や金、やりがいなどの状況だけでなく、会場全体で共有しているバロメーターが変化していくというゲームです。
ここら辺のざっくりとした説明はイマココラボさんのホームページのゲーム紹介のページで確認できますが、実際にプレイングをしてみないとわからないと思います。
で、各プロジェクトカードの上にプロジェクト名が記載されているんですが、そこに視点がいかない。多分これはゲームデザインの問題かなと思います。
具体的には、プロジェクト名には「社会福祉を実現する」「子どもを労働力として使う」のようにポジティブなものもネガティブなものもあるんです。世の中にはSDGs達成に向けて前に進む取り組みも後ろに下がる取り組みもある。確かに、社会には実際そういう要素がありますよね。
だから、そこに目が行くと色々考えさせられるのになと思いながらも、ゲームの本編と直接関係がないから目がいかない。とにかく忘れられがちになります。
ここら辺はファシリテーターの発問などで視線を向けてやればいい振り返りができるのかもしれませんが、少なくとも今回はそういった流れはありませんでした。
結果、全体的に妙に社会的なことが盛り込まれているのに、そこに目がいかないままゲームが進行して行く感じが常にありました。今回の参加者は比較的SDGsについての理解がある人たちだったので、それでもモヤっとするということは、おそらく「SDGsって何?AKB的な何か?」ってぐらいの認識の人がやったら余計にちんぷんかんぷんじゃないかな。
ファシリテーターは中間報告のタイミングと、ゲーム終了のタイミングで世界の状況を読み上げるのですが、会場内で起こったことを参加者で読み解く時間をそこで作れば少し結果は違ったのではないかなと思います。
とにかく、ファシリテーターという存在を加味してやっと完成するゲームという意味で、非常にファシリテーターの力量によるところが大きいんだと思います。
結論
正直、自分でファシリをやりたくなりました。傍目八目、言うは易く行うは難しとはよくいったもので、ファシリテーター側で実施してみるとおそらく色々あるんだと思います。
ただ、じゃあ認定制度を用いてまで「このゲームを」実施したいかというと、そこまでじゃないというのが率直な感想です。
というのも、SDGsについて考えるためのワークは他にありますし、ゲームからの振り返りでSDGsを考えさせるのであれば、他のゲーム(例えば貿易ゲームなど)でもできるからです。
今回はSDGsについての学び以上に、ファシリテーターの在り方や、困った参加者の舵取りの仕方などの方が大きかったです。実施後の同業者との懇親会で「自分ならどうするか」というテーマで大いに盛り上がりました。
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