会話の流れ(文脈)を意識すればコミュニケーションの全てが変わる

いきなりですが、あなたはコミュニケーションを「意識して」行なっていますか?
次の絵をみてください。
あなたは自分をこの絵の中の何かに例えるならばどれだと思いますか?
目次
コミュニケーションを意識して行なっていない人はコマです
意識をしていない人は、この絵の中で例えると盤上のコマです。
別にそれが悪いわけではありませんし、もちろんそういう無意識でしていることに価値があるときもあります。例えば、気が置けない友達と他愛もないやりとりをするときや、家庭内の会話などであまりに意識をしたコミュニケーションをしていると嫌われてしまうかもしれません。
ただ、目的を持った会話や、話し合い、あるいは大きく文化や価値観の違う人との会話の場面では、意識をしないコミュニケーションをしていると大きな問題に発展することがあります。
絵を見てイメージしてもらえば分かると思いますが、全員がコマだとそもそも話が進みませんよね。だから、ある程度目的のあるコミュニケーションを行うときは意識をする必要があるのです。
意識をするというのは、上の絵でいうと、例えばチェスの打ち手になることです。
しかし、全ての人が駒を動かすプレイヤーかというとそうではありません。絵の中にも直接盤面を触っていない傍観者がいますよね。意識をしている人全てがプレイヤーとして動いているわけではないということも覚えておきましょう。
それでは、何を意識しなければいけないのか。
いろんな要素がありますが、最も大切なのは文脈(話の流れ)です。コンテクストって言われた方がしっくりする人も多いかもですね。
この文脈を意識してつかみ取れる人がコミュニケーションを制するといっても過言ではありません。
3つのアクション
さて、私たちが文脈に対してできることは3つです。
- 文脈を作る
- 文脈を切る
- 文脈を見守る
それでは、これらについて一つ一つ取り上げていきます。
文脈を作る
これは、何もないところから話を作り出す技術です。
具体的には、例えば自己紹介などの口火を切る時、プレゼンテーションなど何かを伝える目的がある時に必ず必要になってくるスキルです。
文脈を切る
話のスイッチを切り替えるための技術です。
状況に応じて、話を終わらせることもできますが、多くの場合、前述の新しい文脈を作る技術と併用することで、文脈を切り替える時に使います。
具体的には、例えば会議の際や、意見が対立した時などに使うスキルです。
文脈を見守る
文脈を意識はしているけれど能動的に関わっていないという状態です。
文脈を切る前などに会話や議論の流れを見極めたり、参与者の性格、特徴などを分析したりする時に行います。実際、意識してコミュニケーションをしている人の数が多い場面ではそこはさながら戦場です。自分が旗を持って話をしているときは、とてもじゃないけど場の全体を見渡すことはできません。意識はしているんだけど、だんだんわからなくなったりします。そのときは、あえて文脈に関わらずに見守ることに徹することも必要でしょう。
つまり、常にスイッチはオンである。
話を切り出すにせよ、切り替えるにせよ、見守るにせよ、意識さえしていれば常に上の3つのどれかの状態になっているということです。真剣なコミュニケーションの場において、常にスイッチは入れておかなければなりません。
なかなかしんどいです。慣れてもしんどいですが、慣れるまではもっとしんどいです。慣れないスポーツなどをして使っていない筋肉を酷使した後の疲労感に似ています。ただ、それこそ筋肉と同じで毎日意識してトレーニングをしていれば徐々に慣れてきて、きつくなくなります。
実際の世の中の人はどうなってんの?
さらに、わかりやすくするために、世の中の人をざっくりと大別したいと思います。コミュニケーションがうまくできている、できていない。文脈を意識している、していない。で分類すると次の4つに分けられます。
- 意識してできている人
- 意識しているができていない人
- 無意識にできている人
- 無意識にできていない人
おそらく、ほとんどの人が下の二つ(無意識にできている/できていない人)です。
「無意識にできていない人」は、もしかしたら「コミュ障」と呼ばれているかもしれません。
例えば無意識にできていない人が話を切り替える時には文脈が見えていないから、とんでもないタイミングで流れを断ち切ってくるでしょうし、逆にどう見ても発言を求められている時にだんまりを決め込んでいたりします。
「無意識にできている人」は、一般的に、あの人は盛り上げ上手だねーとか言われているけどそれを「才能」と思っている人が多いです。このタイプの人の特徴として、日常会話では人気者でいつも誰かを笑わせているんだけれど、公の場ではコケることが多いです。無意識に経験則的に上手に回しているだけなので、小さな輪っかではできても大きな場になるとうまくできないんです。ちなみに、私自身も二十代の前半まではこのカテゴリーに属していました。かつての上司に「パブリックスピーチの練習をしたほうがいいね」と言われたのが苦い思い出です。
コミュニケーション能力を身につけるにあたって目指すべきは残りの二つ(意識してできる/できない人)です。
「意識してできる人」については説明は不要でしょう。
「意識しているができない人」というのが、これまで文脈を意識をしてコミュニケーションを行なっていなかった人がまず最初に目指すべき姿です。
運動会の行進で右手と右足が一緒に出ちゃうようなやつです。あるいは、カメラを回されていたら意識してしまって全然ちゃんとした行動ができなくなったりするのも似ています。
意識しなくても、(ある程度は)できていたものを意識するとできなくなるというのは日常生活でなんども経験をしたことがあると思います。このコミュニケーションについてもまるっきり同じことが言えます。
「どのタイミングで、何を言えばいいんだろう」
「ここは、様子を見ていたほうがいいんだろうか」
「多分ここでこの話を挟んだら盛り上がるんじゃないかな」
そんな風に、これまで考えていなかったこと、考えなくてもやれていたことをいちいち立ち止まって考えるようになったらまずはスタートラインに立ったと思ってもらって大丈夫です。そして、そのことによって最初はガクッとコミュニケーションを取るのが下手くそになると思いますが、それが正常ですのでどうか焦らずにじっくりとまずは日々の生活で文脈を意識するという基礎練習に励んでください。
これは、野球で言えば素振り、柔道で言えば受け身のような活動ですので、ここをしっかりと丁寧にやっておけば、後からの伸びに期待ができますよ。