【子ども向け】カンボジア大虐殺でポルポトが教えてくれる政治との関わり方
小学校で、カンボジアについて話をする機会をいただいた。
カンボジアを話す時に避けて通れないのがクメール・ルージュ、ポルポトによる大虐殺の歴史です。
諸説ありますが、当時の人口の25%、200万人規模の大虐殺をしてのけたポルポトについてあなたならどのように伝えますか?
目次
ポルポトは狂人だろうか?
私はこれまでにポルポトについて次のような説明を聞くことが多かったです。
ポルポトという頭のおかしい人がいてね、200万人を殺したんだよ。
本当かなぁ?
一人の力で200万人なんて絶対に殺せませんよ。
ヒトラーだって、スターリンだって、歴史上驚くほどの人間を殺したと言われる人たちはみんな「民衆」に支えられた人たちなんですよ。熱狂的にね。
ということで、小学校ではこんな話にしました。
コップの水から見える世界
ちょっと、前に出てきてくれる人ー!
友達の家に4人で遊びに行ってね、喉乾いたでしょー。はいどうぞ。
って、コップに注がれたのがこんな様子だったらどうかな?
「いやだ」
何が嫌なの?
「だって、おかしい」
何がおかしいの?
「水の量」
あー、なるほどね。そしたら自分の気にいるようにしてもらっていい?
それでいいの?
「うん」
どんな風に考えてこういう分け方したの?
「みんな一緒にした」
なんで?
「平等だから」
なるほどねー。ありがとう、じゃあ拍手ー。席に戻ってくださいね。
大丈夫?みんなこんな感じで考えた?
おかしい!!多いやつ私が飲みたかったから元に戻せ!!っていう人いる?
そうやねー。できたらみんな一緒がいいよね。
でも、実際にこの世の中ってみーんな一緒かな?
「違う」
そうだよね。どっちかというと最初のコップの様子の方が実際の世の中の様子に近いかもしれないよね。でも、みんなが口を揃えて言ったやん?「平等な方がいい」「差がない方がいい」ってね。
理想的な国家とは何か?
そうなんよ、カンボジアっていう国で、みんなが今、考えたことと同じようなことを言った人がいました。
それがこの人、ポルポトさんです。
ポルポトさんはみんな平等な国を作ろうと思ってうーんうーんって考えて、「昔に戻ろう!」って思ったんだよね。持ってる人がいて持ってない人がいる、そんなんがなかった時代こそが最高じゃないか!
いつまでもどったらええと思う?100年前?200年前?
いやー、多分まだお金持ちがいたと思うよ。
もーっと前です。みーんなが農業をしていた時代を最高の時代だって思ったんよね。
わかるかな?全員農民よ。全員。
これまで農業と全然違う仕事していた都会の人とかもみーんな農作業をしなさいって言いました。
しかも、追い出しちゃったんよね。都心部から。
そして、こんなお触れを出しました。
当時のカンボジアは国内の小さな争いがずっと続いていたからぼろぼろやったんよ。だから、このお知らせを聞いた知識人の多くは名乗りでました。自分の国のためならってね。多分、慣れない農作業から解放されたいっていう思いもあったんやろうね。
ホイホイと、名乗りでた人たちを待ち受けていたのは国を立て直すための仕事ではなくて、死ゴトでした。
殺されたんです。
その数、
200万人。人口の四分の1程度の人が殺されました。
さて、誰に?
「ポルポト!」
いや、違います。
実際に手を下したのは子どもたちです。
「えっ!」
(子どもを兵士にする話については今回は小学校であること、少し長く難しい話になることを理由に端折りました)
ポルポトが考え、描いている世界を実現するためにそれを支えた人がたくさんいたんだよ。
みんな今「えっ」って声をあげたよね。おかしいなーって思ったよね。
でも、だんだんそんなことも分からなくなります。
こんな言葉聞いたことあるかな?
<集団心理>ちょっと難しい言葉だけどね。知ってる?
「赤信号、みんなで渡れば怖くない?」
あ!知ってるね。それそれ。信号渡るときにね、一人だったら待てるのに誰かが赤でも渡り始めたらつられて渡っちゃったりするよね。うんうん。
他には、何かないかな?みんなの身近なところで<集団心理>が原因の問題に心当たりない?
例えば、クラスの一部だけ除け者にして他の全員があいつは◯◯だよって言い出したら?
「あ、いじめ?」
そうよね。最初はおかしいなって思ってても、だんだん分からなくなるね。もしかしたら楽しくなっちゃうかもね。でも、除け者になっている人はどうなんだろうね。みんなのクラスはどうかな?大丈夫?ぜひ、この機会に考えてみてね。大丈夫か。
ね、200万人の人を殺してしまうことができるんだよ。私たちは。
思い出してみて、ポルポトさんは何をしようとしてたんだっけ?
平等な世界がいいって言ってたんだよね。おかしなこと言ってた?
「言ってない…」
だから、きっと支持されたんだろうね。みんなはちゃんと「自分で」考えて行動ができる大人になるんだよ。
だいたい、こんな感じの話をしました。
アンコールワットなど最盛期のカンボジア文化のことや、世界に対して私たちに何ができるのかなどについてなど、いくつか話をしましたので、ここで取り上げたポルポトについての話は全体の中の一節です。
そして、大人もまた考えなければいけない
さて、小学生に考えさせるのではなく、私たちも考えなければいけないと思うのです。
例えば選挙の時に「自分で」考えて一票を入れている人がどのぐらいいるんだろう。
SNS上で流れてくる診断メーカーを使って自分の立ち位置を測ってみたり、あるいは新聞各社がまとめた簡単な投票先を抽出するような記事やチャートをもっぱら持ち上げてみたり、似たような話ですが、どこかの団体や個人がまとめた比較表に乗っかってみたり。それって、もう「自分の」考えなんやろうか。
どこを支持してもええと思うし、誰を支持してもええと思うんです。というか、自由であるべきなんです。でも、ほんまに自由かなって。あなたの使っているツールに、あるいは日頃気にいって読んでいる何処かの誰かが書いた記事に、飲み屋でたまたま耳に入ってきたどっかのおっさんの一言に、引きずられてやいないだろうか。
カンボジアで200万人を殺したのは、ポルポトじゃないと思うんです。
やっぱり、民衆なんやと思うんですよね。
(少年兵にされ巻き込まれた子どもたちは被害者やと思いますけど)
そして、同じ民衆である私たちはこれまでに世界各地で同じような過ちを繰り返してきて、どれほど成長したんやろうかと。
自分の考えを持ちましょう。
分からなくなったら、トイレの便座にでも座りましょう。スマホの電源を切ってね。
ここは孤独なところ
自分が自分になるところ
ーみつを
孤独な時間を作りましょう。
自分が自分である時間を。
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