ファシリテーションの基礎技能、アクティブリスニングを具体例で分かりやすく解説
あなたは、人の話が聞けていますか?
今回は、ファシリテーションの現場で、あるいは日常のコミュニケーションで非常に大切なスキル「アクティブリスニング」を解説します。ぜひアクティブリスニングを身につけて、真の聞き上手になってくださいね。
ところで、聞き方の前に話し手側のお話を一つさせてください。
自分の話は相手に伝わっているだろうか?
話をしている時に、本当に自分が話したいことを伝えられていますか?
私は話は割と得意な方だと思っていますが、答えはNOです。特に日常会話において、自分が話したい内容を伝えられていることはほとんどないと思います。というのも、準備をして挑むスピーチなどの場合を除いて、話し手は自分の話している内容や考えに対して無自覚です。
そんなことないべ。って思う人は胸に手を当てて聞いてみてください。
例えば、今日のお昼に友達と話した会話を覚えていますか?
その時にどんな思いで、どんな考えで、どんな話をしましたか?
そーんなに、真剣に話題を考えて話をしていませんよね?
だいたい、なんとなく話をしているんです。で、日常生活はそれでいいんですが、ちょっと深刻な場面だとどうでしょうか。
ありがちなのがこんな場面。
「最近、学校が全然楽しくないんだよね。辞めよっかな」
どうですか?どう対応します?
これ、典型的に話し手が何を話しているか分かってないケースです。そして、話し手はきっと自分が何を話しているかについて分かっていないことにすら無自覚です。
話し手以上に理解し、聞くのがアクティブリスニング
だから、ファシリテーターはアクティブリスニングを身につける必要があります。アクティブリスニングとは話し手が伝えたいことを話し手以上に理解し、引き出すための技法で、あらゆる課題解決を行う上で非常に重要になります。
アクティブリスニングには発言の文脈や相手の表情、仕草、呼吸など様々な言語以外の情報からも読み取ることが求められますが、今回はあくまで言葉から読み取るためのスキルについて解説します。
早速、先ほどの発言を取り上げて考えていきましょう。
「最近、学校が全然楽しくないんだよね。辞めよっかな」
アクティブリスニングは聞くことです。主体的にね。どんどん、掘り下げていくことで本人が整理できていない感情のわだかまりを整理します。多くの場合、この程度の悩みや相談、問題であればこちらがあれこれアドバイスや支援をすることなく自己解決をすると思いますよ。
じゃあ、どうやって掘り下げるかというと「質問」によって行います。
発言の中の「ぼやっ」てしている言葉がどれか見つけられますか?
【最近】【学校】【楽しくない】【辞めたい】
ここら辺です。
これに、質問を投げかけてはっきりさせていきます。
「最近っていつなん?」
「学校ってなんのこと?クラス?部活?それともプライベート(友達とのこと)?」
「楽しくないっていうけど、どんな時にそう感じるの?」
「辞めたいんやね。いつそう思ったん?きっかけはある?」
すると、
「うーん、この一週間ぐらいかな」
「特にきっかけはないんやけど、先週部活でドジをしてもて、先輩に怒られたんよね、来週から試験やし。彼女もできひんし、なんか楽しいことがあんまり見つからんくて」
「授業中にぼーっとしてる時に嫌な気持ちになってきて楽しくないな、辞めたいなみたいな気持ちになるんよね」
みたいに、回答が出てきますよね。そしたら、さらにここからアクティブリスニングを行います。
「楽しいことが見つからんって、楽しいことってどんなんやろ?何してる時楽しい?」
「授業中にぼーっとしてまうんや、授業もしかして難しい?」
そしたら、もう自動的に解決し始めますよ。
「前は部活が結構楽しかったんやけどなー。いい息抜きになってたからよかったんやけど、最近スランプやし。なんか先週のミスから居心地も悪くてね」
「授業中にぼーってなるのも勉強がちょっと難しいのもあるけど、なんか色々考えちゃって、そしたらテストももうすぐやのにって自己嫌悪に陥るし。あー、そうか。やっぱり部活かなー。なんか、向き合うのが嫌で逃げ出しちゃったからな。ずっとそれを引きずってたんかも。ありがとう。スッキリした、今日は放課後に先輩にちゃんと謝ってみる。」
こんな感じでね。
いや、そんなうまくいかんやろって思うかもしれませんが、実際のところびっくりするぐらい上手くいきますよ。
モヤモヤしている時って、絡んでいる糸みたいなもんなんです。ギュってカッチカチのダマになってたら解くの難しいですけど、ふわっとしているもつれはすぐに解けますよね。アクティブリスニングは、固まっている糸をふわっと解きやすくするための技法です。
ぜひ、マスターして相手の言いたいことを相手以上に聞き取れるようになって、仕事もプライベートも充実させてくださいね。
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